6月8日の日記
2007年6月8日最近、舞城王太郎を読んだりしてます。
といってもこれで三冊目。
たかが三冊目でこんなことを言うのもなんだけど、
「世界は密室でできている。」は、
舞城王太郎のエッセンスがこれでもかこれでもかと
圧縮して詰め込んであるように思いました。
乱暴な小説です。いろんな意味で。
文章は勢いに任せて書かれたような口語体だし、
人は次から次へと殺されるし、殺害現場は凄惨だし、
展開はぶった切りの細切れだし、
登場人物はみんなしてぶっ飛んでるし。
それから、トリックのオンパレードです。
それもタイトルを裏切らない、密室トリックばかり。
ただし、情報が十分に示されて、
読者がそれを解くことができるという類のものではなくて、
密室がありました。探偵が解きました。はい終わり。
こんな感じ。あふれるスピード感。放置される読者。
読みながら思ったのが、
なんかこれダイジェストみたいな小説だなあ、ということ。
実際、青春小説とミステリーの美味しいシーンだけを
寄せ集めて作られたみたいな話でした。
主人公の少年が13歳から19歳になるまでの話を書きながら
ページ数は文庫でわずか244ページという事実が
それを物語っていると思います。
つーわけで、エンターテイメントとしては
十二分に楽しめましたが、
「阿修羅ガール」を読んだときのように
著者に好感を覚えたりはあんまりしませんでした。
あ、「面白いやつだなこいつ」とは思ったけど。
それから瑣末なことだけど、
出てくる女性はエキセントリックながら、
どこか村上春樹っぽさを感じさせて、
この作家が「春樹チルドレン」と呼ばれる理由が
なんとなくわかったりわからなかったりしました。
もう何作か読んでみたいです。
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